会頭挨拶

 

 

令和7年 年頭所感
第15代会頭  亀川 寿

 

新年あけましておめでとうございます。
会員の皆様におかれましては、お健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
平素は、当所の事業運営に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、昨年の我が国経済は、回復基調を見せつつも、世界的な経済変動や物価高騰の影響を受け、いくつかの重要な課題に直面した一年となりました。急激なコストの高騰により、価格転嫁が進む一方で、価格に見合った商品・サービスの付加価値向上が常に求められています。また、少子高齢化や労働力人口の減少、働き方改革の進展に伴い、生産・供給能力の拡大が難しく、そうした状況の中での最低賃金の引き上げは、小規模事業者、中小零細企業の経営を圧迫しております。その一方で観光業を中心にインバウンド需要が回復し、地域経済にも明るい兆しをもたらしましたが、田川地域では経済回復の実感が乏しく、地域内需要の喚起と持続的発展が課題となっています。地域浮揚のためには、会員の皆様の持つ知恵や経験、そしてコミュニティ全体での連携が必要不可欠であります。地域のつながりをより一層深め地域全体で一体感を持ちながら、商工業の発展と持続可能な社会の実現に向けて、田川商工会議所は、地域経済の発展を支える柱として、皆様の挑戦を全力で支援してまいりたいと存じます。

そのような中、田川商工会議所では、国からのコロナ対策交付金が終了して予算確保が厳しい状況でしたが、「プレミアム付き商品券(たがわ元気再生振興券)」と「キャッシュレス商品券(たがわペイ)」を総額1億円発行しました。どちらも販売予定数を超える応募を頂き、抽選販売を実施いたしました。振興券発行については、広く地域住民の間で定着して、市内商工業者、商店街からも継続を望む声が強くありますので、今後も引き続き要望してまいりたいと存じます。

後継者不在や経営環境の悪化などを理由に廃業が増加傾向にある中、当所では年2回「創業セミナー」を開催して、創業支援、起業家育成に積極的に取り組んでいます。2回のセミナーはいずれも定員を超える受講者の応募があり、厳しい社会情勢の中にも創業に対する気運は高まってきていることが伺えますので、創業に向けて最後までフォローアップを継続して行ってまいります。

商工業の振興を図り、優秀な人材の育成、従業員の福利厚生の充実を目的に、当所が毎秋、開催しております永年勤続従業員表彰式は、昨年69回目を迎えました。厳かながらも晴れやかに挙行される式典では、商工会議所会頭表彰に加え、対象者には田川市長表彰、県知事感謝状も贈られるなど、従業員のモチベーション向上のみならず、雇用主としては単なる「感謝」の場にとどまらず、自社の理念や姿勢を明確に示す貴重な機会にもなっております。本表彰式も今年は記念すべき70回目を迎えますので、より多くの会員事業所のご参加をお待ち申し上げます。

当所では令和6年度に、新たな事業にも取り組みました。30年続いたデフレから脱却し、賃金が増え、経済が成長するためには、適切な価格転嫁と中小企業の持続的な賃上げが不可欠となることから、事業者の賃上げや価格転嫁に繋がる取組を専門的知見から支援する「賃上げ応援専門家」派遣事業を実施いたしました。また、中小企業、小規模事業者を対象に、価格交渉のスキルアップを目的としたセミナーも開催いたしました。

女性会においては、県内15商工会議所女性会を田川に迎えての意見交換会および合同講演会を実施開催いたしました。そして、講演会の講師に平成筑豊鉄道の河合社長を招いたことを機に、後日、県内女性会が集って「ことこと列車」の貸切ツアーも実施されました。また、青年部においても、県内13商工会議所青年部を田川に迎えて、福岡県連事業の田川大会を実施開催いたしました。さらに本年2月には、日本商工会議所青年部の全国大会が久留米市で開催されることに伴い、田川地域において分科会を企画して、全国から多くの青年経営者を迎える準備を進めています。

令和6年の世相を表す「今年の漢字」に「金」が選ばれました。パリオリンピック・パラリンピックが開催された年であり、日本勢の活躍が目立ち、多くの「金メダル」がもたらされたことが、たくさんの人々に希望と感動を与えました。また、20年振りに新紙幣が発行されたことも大きな話題となりました。そして、令和6年は年明け早々の地震に始まり豪雨災害といった自然災害も相次ぎ、被災地では復興のための募金や支援が集まり、多くの人々が「金」による支援を通じて絆を深めた一年でもありました。「金」は目に見える成功や富だけでなく、支え合いや挑戦、そして希望の象徴となる言葉であり、この漢字が選ばれた背景には、人々の前向きなエネルギーや、未来への願いが込められていると存じます。

田川商工会議所は、これからも関係各位の皆様のご協力をいただきながら役員議員及び、事務局が一体となって邁進してまいりますので、変わらぬご支援、ご協力をお願い申し上げます。

年頭にあたり会員事業所皆様の益々のご発展とご健勝を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。